夏に備える遮熱対策:工場の温度管理と省エネのヒント
こんにちは。
東京都足立区に本社を構え、工場・倉庫・マンション・アパート等の修繕を行っている楽塗です。

毎年訪れる夏の暑さ。しかし、ここ数年の猛暑は“いつもの夏”とは違います。
外気温が35℃を超える日が続き、工場内ではさらに過酷な環境が広がっています。
「これまでの対策では限界を感じている」「現場から不満や不安の声が上がってきている」
——そんな状況に直面していませんか?
1. 工場の「暑さ」が引き起こす問題とは?

夏の暑さが年々厳しさを増す中、鉄骨造や金属屋根を多く採用している工場では、建物自体が高温にさらされ、内部の温度が異常に上がる傾向があります。
こうした環境下では、以下のような問題が頻発します。
- 作業者の集中力低下、熱中症のリスク増加
- 精密機器の誤作動や故障
- 製品の品質劣化(特に温度に敏感な材料)
- 冷房設備の過負荷による電力消費の増大
- 空調コストの増加
現場の安全性と生産性を守るためには、単に「暑さを我慢する」だけではなく、構造的な遮熱対策が不可欠です。
2. 遮熱塗装だけでは足りない理由

遮熱塗装は屋根や外壁からの熱の侵入を軽減する効果があり、第一段階として有効な手段です。
しかし実際には、以下のような限界があります。
- 経年劣化によって効果が低下する(数年で再塗装が必要)
- 屋内の発熱源(機械、照明など)には対応できない
- 室内の熱がこもる「蓄熱」現象を解消できない
つまり、遮熱塗装は“熱を入れない”対策の一部でしかなく、室内の熱を“逃がす・抑える”工夫と組み合わせることが重要です。
3. 実践したい!工場の遮熱&温度管理対策

以下は、遮熱塗装と併用すべき具体的な対策例です。
■ 断熱材の導入・見直し
屋根や壁に高性能の断熱材を設置することで、外気の影響をさらに軽減。断熱性能は耐久性も高く、長期的なコスト削減に貢献します。
■ 換気・排熱システムの最適化
大型の換気ファン、ルーフファン、ダクト排熱などを導入し、屋内の熱を効率よく排出。熱がこもりやすい高所からの排気がポイントです。
■ 空調設備の効率化
インバーター式空調やスポットクーラーの活用により、冷却効率を向上。作業エリアに応じた空調ゾーニングも効果的です。
■ ミスト冷却や気化冷却装置の設置
蒸発熱を利用して周囲の空気温度を下げる省エネ冷却設備。屋外・半屋外の作業現場にも最適です。
■ 遮熱シートや断熱カーテンの活用
出入口や窓に遮熱材を設置することで、熱の流入をさらにブロックします。
4. 温度の「見える化」で改善効果を高める

温度センサーやサーモグラフィーを活用して、工場内の温度分布を“見える化”することも重要です。
局所的な高温エリアを特定し、対策の優先順位を明確にできます。
また、温度ログの蓄積によって、改善効果の定量的な評価や設備投資判断の根拠にもなります。
5. 省エネ補助金・助成制度の活用

省エネルギー設備の導入にあたっては、国や自治体の補助金制度を活用することで、初期投資の負担を大幅に軽減できます。たとえば以下のような制度があります。
- 省エネルギー投資促進支援事業(国)
- 各都道府県・市区町村の独自助成(空調設備、断熱改修など)
導入時には、補助対象条件や申請スケジュールを事前に確認することが肝心です。
まとめ:遮熱対策は“コスト”ではなく“投資”——工場経営の新しいスタンダードへ
夏の暑さは、単なる気象現象にとどまらず、工場の安全性・生産性・コストに直結する経営課題です。
屋外以上に高温になる工場内では、従業員のパフォーマンス低下や健康被害、製品トラブル、空調コストの増加といった多くのリスクが潜んでいます。
その対策として注目されるのが、遮熱塗装をはじめとした各種「遮熱・断熱・冷却・換気」の技術。しかし、単一の対策だけでは対応しきれないのが現実であり、複数の手段を組み合わせた“戦略的な温度管理”が求められています。
また、工場の温度環境を「見える化」し、データに基づいた改善を重ねていくことで、対策の効果を最大限に引き出すことが可能になります。こうした取り組みは、単なる省エネや節電にとどまらず、従業員の働きやすさ向上=人材の定着・生産性の向上にも直結する、長期的な経営価値を生む「投資」なのです。
今後も続くであろう気候の厳しさに備え、“暑さに強い工場”こそが、持続可能なものづくりの条件となっていくでしょう。
遮熱塗装で満足するのではなく、「工場を冷やす仕組みをどうつくるか」という視点から、ぜひ自社の対策を見直してみてください。