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来年の夏までに考えたい!家畜養鶏農家のための遮熱対策

2025/08/28

近年の日本の夏は、これまでに経験したことのない厳しさを見せています。気象庁のデータでも、猛暑日の増加傾向は明らかで、特に都市部や内陸部では40℃を超える気温が観測されることも珍しくなくなりました。

このような高温環境は農業経営に大きな負担をもたらします。特に養鶏農家にとっては、夏場の温度管理が鶏の健康と生産性を左右する最大の課題です。鶏は汗をかけず、体温調節が苦手なため、30℃を超えると食欲が落ち、35℃を超えると危険水域に達します。摂餌量の低下はそのまま産卵率の減少につながり、さらに熱死のリスクも増大します。

そのため、養鶏農家にとって「遮熱対策」は経営の安定を守るために不可欠です。本記事では、数ある暑さ対策の中から、特に導入しやすく長期的な効果が期待できる遮熱塗料に焦点を当て、その仕組み、導入メリット、経済効果、施工方法、導入事例などを詳しく解説します。


1. 遮熱塗料とは?

遮熱塗料とは、太陽光に含まれる赤外線(熱線)を効率よく反射し、屋根や壁の表面温度を抑える特殊な塗料です。通常の塗料は美観や防錆・防水を目的としていますが、遮熱塗料は「熱を遮る」ことに特化して設計されています。

遮熱の科学的仕組み

太陽光は大きく分けて以下の成分で構成されています。

  • 可視光線(約45%):目に見える光。色彩を決める。
  • 赤外線(約52%):熱エネルギーの大部分を占め、屋根の温度上昇の主因。
  • 紫外線(約3%):劣化や色あせの原因。

遮熱塗料は、この中で最も温度上昇に影響する赤外線を反射することで、屋根や壁の蓄熱を防ぎます。

塗料に含まれるセラミック粒子や特殊顔料は、赤外線の反射率を高める働きを持ち、結果として屋根の温度を10〜15℃程度低下させることが可能です。


2. 鶏舎での効果

(1) 鶏舎内の温度低下

実証試験では、金属屋根に遮熱塗料を施工した場合:

  • 屋根表面温度:65℃ → 48℃(約17℃低下)
  • 鶏舎内気温:38℃ → 34℃(約4℃低下)

わずか4℃の違いですが、鶏の快適性は大きく改善します。

(2) 鶏の健康維持

鶏は30℃を超えるとストレスを受け、35℃を超えると熱死の危険性が高まります。遮熱塗料の効果で鶏舎内が数度下がることで、熱死率の低下や摂餌量の維持、産卵率の安定といった成果が期待できます。

(3) 電気代・水道代の削減

温度上昇が抑えられることで、換気扇や冷却システムの稼働を減らすことができ、電気代が10〜20%削減された例もあります。さらに散水やミスト装置の使用も減り、水道代の削減にもつながります。


3. 遮熱塗料の種類

(1) 塗料の樹脂別分類

  • アクリル系:低価格で導入しやすいが耐久年数は短い(3〜5年)。小規模農家に適する。
  • シリコン系:価格と耐久性のバランスが良く、7〜10年持続。最も普及している。
  • フッ素系:高価だが10〜15年の耐久性。大規模農場や長期投資向け。

(2) 色による効果

  • 白やシルバー:反射率が高く、最も効果的。
  • グレーやベージュ:景観とバランスを考えた選択肢。
  • 濃色(黒や紺):遮熱効果は落ちるため推奨されない。

4. 経済効果の試算

例:屋根面積500㎡の中規模鶏舎にシリコン系遮熱塗料を導入した場合

  • 施工費:約80万円
  • 効果持続:7〜10年
  • 電気代削減:年間10万円(換気扇稼働率低下)
  • 鶏の死亡率低下による損失減:年間5万円相当

→ 合計で年間15万円の効果が期待でき、5〜6年で投資回収可能。その後は利益に直結します。


5. 施工プロセス

遮熱塗料の施工は大きく4段階に分かれます。

  1. 下地処理:錆・汚れを落とし、ひび割れを補修。
  2. 下塗り:プライマーを塗布し、塗料の密着性を高める。
  3. 上塗り:遮熱塗料を2回塗布。
  4. 仕上げ:乾燥後に効果確認。

自分で施工することも可能ですが、均一な仕上がりや耐久性を考えると専門業者に依頼する方が安心です。


6. 実際の導入事例

事例①:岐阜県の養鶏農家(採卵鶏2万羽)

「毎年夏場は産卵率が5%ほど低下し、換気扇の電気代もかさんで悩んでいた。遮熱塗料を施工してからは鶏舎内が2〜3℃下がり、鶏の食欲が安定。前年より夏場の卵収量が5%増加した。」

事例②:鹿児島県の小規模農家(ブロイラー飼育)

「導入前は真夏に熱死が相次いでいたが、遮熱塗料を塗ってからは被害がほぼゼロに。ミスト装置の使用も減り、水道代が月5000円削減できた。」

事例③:北海道の養鶏農家(寒冷地)

「暑さ対策は不要だと思っていたが、近年の猛暑で鶏舎内が35℃を超える日が出てきた。遮熱塗料を塗布したことで夏場でも30℃前後に収まり、鶏への影響が大幅に減った。」


7. 補助金・助成制度

遮熱塗料の導入には初期費用がかかりますが、国や自治体の補助金を活用できる場合があります。

  • 農水省の省エネ対策事業:環境負荷低減に資する設備として対象になる場合あり。
  • 地方自治体の補助金:環境対策や温暖化防止事業の一環で支援されることがある。
  • JA独自の助成:組合員向けに省エネ・環境対策支援が行われる場合も。

導入を検討する際は、地域のJAや役場に相談するのが賢明です。


8. 他の暑さ対策との併用

遮熱塗料単独でも効果はありますが、他の対策と組み合わせることでさらに効果が高まります。

  • 換気扇(トンネル換気):空気の流れを作り体感温度を下げる。
  • 遮光ネット:直射日光を遮り、さらなる温度上昇を防ぐ。
  • 散水システム:屋根表面を冷やすことで即効性あり。

「遮熱塗料+換気+散水」の三本柱が、猛暑に対抗する理想的な組み合わせです。


9. 気候変動と長期的視点

気象庁の予測によれば、日本の平均気温は今後数十年でさらに1〜2℃上昇するとされています。これは養鶏業にとって大きなリスクです。

今後は「高温が当たり前」という前提で鶏舎設計や設備投資を考える必要があります。遮熱塗料は、その中で比較的低コストで長期的に効果を発揮する手段として重要な役割を担うでしょう。


まとめ

  • 遮熱塗料は鶏舎の温度を2〜5℃低下させる効果がある。
  • 鶏の死亡率低下、産卵率向上、電気代削減といったメリットがある。
  • 導入費用は中規模鶏舎で50〜100万円、5〜6年で投資回収可能
  • 他の暑さ対策と組み合わせることで、猛暑に負けない鶏舎環境が実現できる。

来年の夏を安心して迎えるために、今から遮熱塗料の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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